学校施設の耐震診断の公表

はじめに

学校施設は児童・生徒が一日の大半を過ごす学習・生活の場である他、災害発生時は地域住民の避難場所となり、防災拠点としても重要な役割を担うため、安全な施設として十分な耐震性を確保する必要があります。

国頭村教育委員会では、これまで耐震化の必要な施設について耐震診断を実施しました。

平成20年6月に改正された地震防災対策特別措置法では、学校施設の耐震診断の実施と結果の公表が義務付けられていることから、以下により耐震診断結果を公表します。

1.耐震化の必要な施設

昭和56年に建築基準法が改正され、現在の新耐震基準が施行されました。新耐震基準は昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されていることから、改正前の旧耐震基準により設計・建築された建物は耐震性のない建物となり、耐震化の必要な施設に該当します。
※公表のない施設は公表時点で耐震化を済ませており、耐震化は必要ありません。

令和4年10月1日時点で、国頭村における耐震化の必要な学校施設は、小学校2校4棟となっています。

診断結果の一覧


耐震化が必要な学校施設一覧

2.耐震診断・耐力度調査

耐震診断とは、耐震化の必要な施設に対し、現在の耐震基準で地震時の安全性を構造力学上確認(診断)することで、※注①1次から3次診断に区分されています。その診断の結果は、※注②Is値(構造耐震指標)※注③Ctu×SD値(累積強度×建物形状指標)で示され、耐震性能の目安となります。
Is値は※注④Iso値(構造耐震判定指標)により0.525以上、Ctu・SD値は0.263以上あれば耐震性能を満たしています。

耐力度調査とは、老朽施設について、建物の構造耐力、経過年数による耐力低下、立地条件による影響の3項目を総合的に調査し、施設の老朽状況を点数により評価するものです。
文部科学省の基準では、評価点数4,500点(平成19年度以前調査5,000点)未満を危険建物として、改築時の補助対象に位置づけています。

耐震診断関連 用語集


※注① 1次診断
比較的耐震壁の多い建物の柱や壁の量から簡略的に診断し評価する診断方法です。

※注① 2次診断
壁と柱の強度を計算し診断する方法で、1次診断より精密な診断方法になり、鉄筋コンクリート造の校舎では一般的に適切な診断方法とされています。

※注① 3次診断
柱と壁に加え、梁の影響も考慮した最も精密な診断方法です。

※注② Is値(構造耐震指数)
建物の耐震性能を示す指標で、値が大きいほど耐震性能が高く、Is値0.6以上で耐震性能を満たすとされており、逆に、Is値0.3未満では大規模な地震(一般的には震度6強程度)時に倒壊の危険性の高い建物とされています。
文部科学省では、学校施設の耐震補強をIs値0.7以上としていますが、沖縄県の場合※注④の算出に用いる地域係数(地域的な地震頻度)が本土より低く設定されているため、Is値0.525以上としています。

※注③ Ctu×SD値(累積強度・形状指標)
建物が地震による水平方向の力に対して対応する強さを表す指標で、この数値が大きいほど耐震性能が高いことを表しています。Is値が高い場合でも、この値が低い場合は、建物の安全性は保たれません。

※注④ Iso値(構造耐震判定指標)
新耐震設計で想定される大きさの地震に概ね対応するように提案されている指標です。
Iso = Es × Z × G × U
Es : 構造判定基本指標(第2次診断、第3次診断 0.6)
Z   : 地域係数(沖縄県 0.7)建築基準法施行令第88条
G   : 地盤指標(1.0)
U   : 用途係数(学校 1.25)
Iso = 0.6 × 0.7 × 1.0 × 1.25 = 0.525
算定したIs値が0.525を上回っている場合は、耐震性が満たされていると考えられます。

また、上記式を用いて「安全」と判定する場合には、さらに以下の式を満足することを条件としています。
Ctu×SD ≧ 0.3 × Z × G × U
Ctu : 構造物の終局限界における累積強度指標
SD  : 形状指標                                                       Z、G、Uの数値は上記と同じ
Ctu×SD ≧ 0.3 × 0.7 × 1.0 × 1.25 = 0.263